楽天モバイルへの乗り換えを検討するとき、「自分の生活圏でつながるのか」は大きな不安の一つです。ネット上には数年前の体験談も多く残っているため、現在の整備状況が分かりにくくなっています。
この記事では、楽天グループが2026年8月10日に開示した2026年度第2四半期決算説明会資料と、楽天モバイルの公式発表をもとに、2026年6月末時点の基地局整備・都市部の対策・衛星サービスの進捗を整理します。
結論を先にお伝えすると、2026年上半期は基地局の「前工程」が先行して進み、実際に電波が出る「後工程」は下半期に加速する計画です。都心の駅は個別に対策が進んでいる一方、居住エリアごとの改善時期は公式に示されていません。
結論:整備は進行中だが、改善時期はエリアごとに示されていない
2026年6月末時点で公表されている整備状況は、次のとおりです(いずれも2026年8月10日開示の決算説明会資料に基づく数値です)。
| 項目 | 2026年6月末時点の状況 |
|---|---|
| 基地局の前工程(設置場所確保〜工事設計) | 2026年内の電波発射目標数に対し約9割が完了 |
| 基地局の後工程(建設・電波発射等) | 下半期に加速する計画。期初計画分の工事会社リソースは確保済み |
| ネットワーク関連設備投資 | 第2四半期で393億円。2026年度計画2,000億円は期初計画から変更なし |
| JR山手線 | 全30駅のうち25駅で5Gネットワークの構築が完了。残る5駅(池袋・鶯谷・御徒町・秋葉原・浜松町)は2026年内に構築予定 |
| 東京メトロ | 帯域拡張の完了後、MIMOを順次展開。6月までに10駅へ導入 |
| 衛星サービス | 2026年第4四半期の提供開始を目指す段階(料金・提供条件は公式未発表) |
なお前工程の進捗率の分母となる基地局工事設計数には、設置条件や周辺環境などを精査した結果、一部建設を見送る案件も含まれると注記されています。
公式資料では前工程は順調に進んでいると説明されています。ただし「前工程が約9割完了」は用地交渉や工事設計が終わった段階を指すもので、その時点で電波が出ているわけではありません。地域ごとの改善時期や、通信品質の体感にいつ反映されるかまでは示されていません。
したがって、契約を検討している場合は全国的な進捗ではなく、自分の自宅・職場・通勤経路が現時点でどうなっているかを個別に確認する必要があります。
基地局建設:前工程が先行し、電波発射は下半期に加速
楽天モバイルは基地局建設の工程を、前工程と後工程に分けて管理しています。前工程は設置場所の確保から基地局工事設計まで、後工程は実際の建設と電波発射などです。
2026年上半期は、用地交渉などの前工程の一部を自社で担う体制へ切り替え、専門技術が必要な工事設計や工事は工事会社に集約する形で分業を進めました。この結果、2026年内の電波発射目標数に対して前工程の約9割が完了しています。
あわせて、進捗管理の単位をエリア別から工事会社別へ細分化し、期初計画分の全基地局建設について工事会社のリソースを確保済みとしています。下半期は建設と電波発射といった後工程を加速する計画です。

設備投資額は2026年度計画を維持
楽天モバイルのネットワーク関連設備投資額は、2026年度第2四半期で393億円が計上されています。2026年度の設備投資計画は2,000億円で、期初計画からの変更はないと明記されています。
四半期ごとの投資額は季節や工程の進み方で上下するため、単一四半期の増減だけで方針の変化を判断することはできません。年間計画が維持されているかどうかが、継続的な整備を見るうえでの目安になります。
都市部の対策:JR山手線と東京メトロ
利用者が集中する鉄道駅では、個別に対策が進められています。
JR山手線は30駅中25駅で5G構築が完了
2026年6月時点で、JR山手線の全30駅のうち25駅で5Gネットワークの構築が完了しています。決算説明会資料の駅別図では、未完了の5駅は池袋・鶯谷・御徒町・秋葉原・浜松町と示されており、いずれも2026年内に構築予定です。各駅の具体的な完了時期までは公表されていません。
キャパシティ増強とは、同じ場所で同時に通信する人が増えても速度が落ちにくくするための対策です。混雑する駅で速度が低下しやすい問題への対応にあたります。
東京メトロはMIMO導入で通信容量を拡張
東京メトロでは、5MHzから20MHzへの帯域拡張が完了した後、MIMOの導入を順次進めています。2026年6月までに導入された10駅は、渋谷、東大前、後楽園、本郷三丁目、御茶ノ水、淡路町、新富町、月島、豊洲、辰巳です。資料では、今後も「JMCIA対策対象駅」で順次導入予定と記載されています。
MIMOとは、複数のアンテナで同時に電波を送受信して通信容量を増やす技術です。今回の導入では、理論上のスループット(通信速度の上限値)を最大2倍に引き上げるとされています。
ただし「最大2倍」は理論値であり、実際の速度は端末の対応状況、駅の混雑度、電波の届き方によって変わります。導入された駅で必ず速度が2倍になるという意味ではありません。
衛星サービスは2026年第4四半期の提供開始を目指す段階
山間部や離島など、地上の基地局では埋めにくいエリアへの対策として、楽天モバイルは「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」の提供を計画しています。公式プレスリリースでは、日本国内で2026年第4四半期のサービス提供開始を目指すとされています。
また、総務省による低軌道衛星インフラ整備事業(J-LEO)では、RAST株式会社を申請代表、楽天モバイル株式会社を共同提案者とする提案が間接補助事業者として採択されています。2026年第4四半期からの商用サービスとは別に、このJ-LEO事業を通じた通信インフラも構築する予定とされ、詳細は決定次第の開示予定です。
公式プレスリリースでは、市販のスマートフォンと低軌道衛星の直接通信を目指す方向性が示されています。一方で、具体的な対応機種、料金、提供エリア、既存プランとの関係といった提供条件は公表されていません。使用する周波数帯やサービス提供方法(時間、価格など)も現時点で未定と明記されており、現在圏外の場所が解消されると判断できる段階ではありません。
契約回線数と解約率から見る利用者の動き
ネットワークの評価に直結する数値ではありませんが、利用者の増減も判断材料になります。以下は2026年8月10日開示の決算説明会資料に基づく数値です。
| 指標 | 数値 | 比較情報 |
|---|---|---|
| 全契約回線数(2026年6月末) | 1,075万回線 | +178万回線(前年同期比) |
| 調整後MNO解約率(第2四半期) | 1.38% | 1.40%(前年同期) |
| MNO単純解約率(第2四半期) | 1.49% | 1.74%(前年同期) |
| ARPU(第2四半期) | 2,921円 | +60円(前年同期比) |
数値を読むうえで、定義に注意が必要な点が3つあります。
- 全契約回線数の1,075万は、BCP等回線を含むMNO、MVNE、MVNOの合計値です。個人が契約したスマートフォンの回線数ではありません。
- 調整後MNO解約率は、B2Cで契約と同月に解約した回線と、法人事業の売上計上方法の変更に伴いBCP等回線へ移管となった回線を除いた数値です。除外前の単純解約率は1.49%です。
- ARPUの2,921円は、MNO契約者によるグループ売上のアップリフト効果(エコシステムARPU)を含む指標です。利用者が毎月支払う通信料金の平均額ではありません。
解約率は前年同期・前四半期のいずれからも低下しており、契約回線数も増加しています。ただしこれは全国平均の傾向であり、特定エリアの通信品質を示すものではありません。
この資料からは分からないこと
開示資料は全国・全社の進捗を示すものであり、次の点は判断できません。
- 特定の住所・建物内での電波状況
- 下半期に電波発射が行われる基地局の所在地
- JR山手線で残る5駅(池袋・鶯谷・御徒町・秋葉原・浜松町)の具体的な構築完了時期
- 衛星サービスの料金、対応端末、提供エリア
自分の生活圏の状況は、まず楽天モバイル公式サイトのサービスエリアマップで住所単位に確認してください。公式サイトでも、地下や屋内などでは実際の通信状況が異なる場合があると案内されています。マップ上で対応エリアとなっていても、建物構造の影響を受ける点に注意が必要です。
よくある質問
- 基地局の前工程が約9割完了したということは、今つながりやすくなっているのですか。
-
前工程の完了は、電波が出ている状態を意味しません。前工程は設置場所の確保から基地局工事設計までの段階であり、建設と電波発射は後工程にあたります。また分母となる工事設計数には、精査の結果一部建設を見送る案件も含まれると注記されています。2026年8月10日開示の資料では、後工程は下半期に加速する計画とされています。
- JR山手線ではどの駅が5G対応済みですか。
-
2026年6月時点で全30駅のうち25駅で構築が完了しています。決算説明会資料の駅別図では未完了の5駅が池袋・鶯谷・御徒町・秋葉原・浜松町と示されており、いずれも2026年内の構築予定です。各駅の具体的な完了時期は公表されていません。
- MIMOが導入されると速度は2倍になりますか。
-
2倍は理論上のスループットの上限値です。実際の速度は端末の対応状況、駅の混雑度、電波の届き方によって変わるため、導入駅で速度が必ず2倍になるわけではありません。
- 衛星サービスが始まれば圏外はなくなりますか。
-
現時点では判断できません。「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」は2026年第4四半期の提供開始を目指す段階で、公式プレスリリースでも周波数帯やサービス提供方法(時間、価格など)は未定と明記されています。対応端末や提供エリアも公式記載がありません。
- 解約率が下がっているのは、通信品質が改善したからですか。
-
資料では要因として、短期間で流動しやすい利用者への対策が奏功したことと、商戦期の終了が挙げられています。通信品質の改善が解約率低下の要因であるという説明は記載されていません。
まとめ
2026年6月末時点では、基地局の前工程が2026年内の電波発射目標数に対して約9割まで進み、設備投資計画2,000億円も維持されています。都心の駅ではJR山手線25駅の5G構築完了、東京メトロ10駅へのMIMO導入といった対策が先行しています。
一方で、電波発射を伴う後工程は下半期に加速する計画であり、居住エリアごとの改善時期は公表されていません。衛星サービスも提供条件が未定のため、現在の圏外が解消される前提で判断はできません。
乗り換えを検討する場合は、公式のエリアマップで自宅と職場、通勤経路を個別に確認したうえで判断することをおすすめします。当サイトでは楽天モバイルの各種キャンペーンや紹介の仕組みも解説していますので、条件を整理する際は紹介キャンペーンの仕組みを解説したページもあわせてご覧ください。
参照した情報
- 楽天グループ株式会社「2026年度第2四半期決算説明会(連結)プレゼンテーション資料」(2026年8月10日)
- 楽天モバイル株式会社プレスリリース「楽天モバイルと米AST SpaceMobile、日本国内で初めて低軌道衛星と市販スマートフォンの直接通信試験によるビデオ通話に成功」(2025年4月23日)
- 一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)「『自律性確保に向けた低軌道衛星インフラ整備事業(J-LEO)』に係る間接補助事業者の採択について」(2026年6月30日)
- 楽天モバイル公式サイト「通信・エリア」「Rakuten最強プランプロジェクト進行中!」
本記事の記載内容は、2026年8月10日に当サイトで確認した情報に基づいています。数値および整備状況は今後変更される場合があります。




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