楽天モバイル、米国NTIAのOpen RANプロジェクトに参画|柔軟な通信ネットワークの未来を解説

はじめに

近年、モバイルネットワークで注目を集めている「Open RAN(オープンRAN)」は、特定ベンダーに依存しない柔軟なネットワーク構築を可能にする技術です。楽天モバイルは、米国NTIA(国家電気通信情報庁)の助成金プログラムによるOpen RAN推進プロジェクトに参画し、米国の無線機器ベンダーと協力して商用展開をサポートすることを発表しました。

楽天モバイル株式会社

楽天モバイル株式会社(以下「楽天モバイル」)は、米国の商務省国家電気通信情報庁(NTIA、注1)の助成金「Public …

本記事では、楽天モバイルが米国で担う役割やOpen RANのメリット・デメリット、今後の展望をわかりやすく解説します。
なお、私自身は本件に業務的関わりはなく、あくまで一般論としての解説となります。


楽天モバイルの米国での役割

  • ベンダーのオープンな無線機器(RU)の検証とインテグレーション
    楽天モバイルは、米国内ベンダーが開発するOpen RAN対応の無線機器を実際のネットワークで稼働させるための検証やインテグレーションを行います。
  • 商用ネットワークでの実証実験支援
    楽天モバイルのDU(分散ユニット)やCU(集約ユニット)を使って、米国内でのOpen RAN導入を実証するプロセスをサポートします。

具体的には、Battelle Memorial InstituteやMicroelectronics Technology, Inc.など複数ベンダーと提携し、O-RAN ALLIANCEが定義する標準仕様に基づいた機器の開発・検証を進めます。日本で培ったOpen RANの実績を活かし、米国市場への導入を後押しする構えです。


Open RANとは?

特徴とメリット

  • マルチベンダー運用が可能
    従来は基地局装置を単一ベンダーから調達するのが一般的でしたが、Open RANでは異なるベンダーの機器を自由に組み合わせられます。
  • コスト削減とイノベーション促進
    ベンダー間競争が起こりやすくなり、設備投資コストの圧縮や新規技術の導入がしやすくなります。
  • セキュリティの多角化
    単一ベンダー依存を減らすことで、特定ベンダーに起因するセキュリティリスクを分散できます。

デメリットや課題

  • システムインテグレーションの複雑化
    マルチベンダー環境では機器間の相互接続や性能確認が難しく、導入時や運用コストが増える可能性があります。
  • パフォーマンスとセキュリティ対策
    既存RANと同等以上の品質を確保するため、綿密な検証とセキュリティ強化が不可欠です。

米国NTIAのOpen RANプロジェクト

米国政府は、Public Wireless Supply Chain Innovation Fundという助成金プログラムを通じて、Open RAN機器の普及とエコシステムの活性化を目指しています。楽天モバイルは、このプログラムの対象プロジェクトにパートナーとして参画し、商用ネットワークでの評価や実用化に向けた支援を担います。


楽天モバイル参画の意義

  1. Open RAN普及の加速
    世界初の大規模Open RAN商用化を実現したノウハウを活かし、米国内でも技術導入を推進。
  2. グローバルでのプレゼンス向上
    米国市場での活躍は、楽天モバイルが世界的に事業を展開するうえで大きな後押しとなります。
  3. エコシステムの拡大
    ベンダーや通信事業者とのコラボレーションにより、Open RANの技術発展や新たなビジネスチャンスを創出。

楽天モバイルのOpen RANへの取り組み

  • 完全仮想化クラウドネイティブネットワーク
    日本国内で4G/5G基地局をクラウドネイティブ化し、汎用ハードウェアで運用。
  • RCP(Rakuten Communications Platform)の開発
    自社で培ったOpen RANの技術を海外事業者にも提供し、グローバルに拡大。
  • 各国ベンダーとの協業
    富士通をはじめ、多くのパートナーと協力してOpen RANソリューションを実用化。

今後の展望

  • Open RANのさらなる普及
    実証実験の成果次第で、米国市場におけるOpen RANの本格導入が進む見通しです。
  • 技術革新の加速
    AIやネットワークスライスなど先端技術と組み合わせることで、新しいサービスモデルが期待されます。
  • 課題への対応
    マルチベンダー環境での品質・セキュリティ確保、運用コストの最適化などは引き続き大きなテーマです。

まとめ

楽天モバイルの米国NTIAのOpen RANプロジェクト参画は、柔軟なネットワーク構築を可能にするOpen RANを米国内で普及させる大きな一歩です。日本で築いたノウハウを米国市場でも活かし、さらなる技術革新とエコシステム拡大を狙うことになりそうです。

Open RANは、5G以降のモバイルネットワークにおいてますます重要な位置づけとなるでしょう。楽天モバイルがこの大きな転換期における先駆者として世界的にどのような活躍を見せるのか、今後も注目してください!


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